上絵付け磁器板の額装 Before-After

■ 上絵付け磁器板の再額装 ■

圧力鋳込みの磁器板に上絵(転写と盛り絵具)で描いてある「やきもの作り風俗絵図」

やたら大きな額縁で、ビロード調の布貼りマット、そして面金で磁器板の縁を隠してしまっている。
残念ながら、これは額装とは言えない。
単に磁器板のサイズに合わせた額縁を作って放り込んだだけである。

上絵磁器板画ビフォー
               ↑クリックで拡大

コンパクトではあるが見た目も実際も「剛性がある」額縁にしました。
雰囲気は「昔の田舎風」・・・地味です。
楢材でシンプルな蒲鉾型、仕上げはグレーがかった塗装仕上げです。
マットは共に京裂の紬と柄緞子を使用し、磁器板は縁を見せて厚みがあることを伝えます。
磁器板は柄緞子の廻し貼りしたベニヤ板に二液性の接着材で小団子貼りしました。

5.5ミリとか12ミリの合板に貼り付けてあるのをよく見ますが、陶磁器板は完全なフラットではなく歪曲していますので、弊店では2.5ミリのベニヤ合板を陶磁器板の接着面に沿わせて接着いたします。

裂を使い、凹凸のある構造ですので、ホコリ対策で2ミリ厚のガラスを入れました。
下の画像はガラスを抜いて撮影してあります。

上絵磁器板画アフター

部分拡大

磁器板画はずいぶん汚れていました。水拭きしてみるとホコリは取れましたが、上絵具の盛り絵具の部分(特に紫色)に酸化皮膜が出来て曇って艶がなくなっていました。

上絵具というのは、いわゆる釉薬の一種で、低温で熔ける釉薬と着色用金属粉末を混ぜた色釉薬で、焼成後は半透明のガラス質になります。
ところが、一部の釉薬では年月が経つと大気中の亜硫酸ガスの影響もあり、ガラス質表面の金属が酸化されて酸化皮膜に覆われてしまいます。
この酸化皮膜は希硫酸の薄め液で除去できます。
伝統的な手法で作られる「織部焼き」の濃いグリーン色の釉薬は、焼成後は酸化皮膜に覆われています。これを希硫酸で除去する作業を「シブ抜き」と言います。
陶器板の作品はシブ抜きをした後、希硫酸が内部まで染み込んでいますので中和する必要があります。
今回は希硫酸が手元に無かったこともあり、研磨法で行いました。

研磨剤は酸化セリウム粉末を使います。同品は主にガラスの研磨(レンズの研磨など)とかシリコンウェハー・サファイア基板の研磨に使います。
粒子による研磨剤としての働きだけではなく、研磨面に分子レベルでの化学反応が起きてガラスの表面をフラット(ミクロの単位で)にしているという事が近年の研究で明らかになっています。
某国のレアアース禁輸政策のお陰で研究がより進んだ様です。

作業は、少量の酸化セリウム粉末に僅かな水を加えて布に付けて擦るだけです。簡単に酸化皮膜は取れます。
2つの画像を拡大して比べてみてください。

酸化セリウムが入手出来ないときは、カーショップでウインドウガラス油膜除去剤(又はフロントガラスクリーナー)を探してみてください。成分に酸化セリウムを含んでいる製品があるはずです。
蛇足ですが七宝の磨き、ユニットバスのホーロー壁の汚れ落としにも使えます。但しプラスチック部分に使いますとツヤがなくなる恐れがありますので注意してください。

念のために「セシウム」とは全く別物です。
セリウム(英: cerium)は原子番号58の元素で、元素記号は「 Ce」
セシウム (新ラテン語: caesium, 英: caesium, cesium) は原子番号55の元素。元素記号は「Cs」

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プロフィール

原 護

Author:原 護
額装の駆け込み寺・・・
額装工房アートランド
   店主 兼 職人です
中津川に店を構えて40年
当時は単なる額縁屋!!
ΓΓΓΓΓΓΓΓΓΓΓΓΓ
作品に対する安全と
  人に対する安全を重視
そして・・・恐妻家です。

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