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間違いだらけの額縁の取り付け

中津川市の、とある公民館で見つけました。

額装は当店で行ったものですが、取り付け工事は行っておりません。

額縁の取り付けで、してはいけないことを全て含む見本のような工事例です。

階段の上に取り付け
階段の踊り場から撮影しています。額縁が階段アプローチの真上に取付けてあります。

★一番大きな間違いは、決してこのような場所には取付けてはいけないことです。
真下に人がいる時に落下したら大変なことになります。
特に、この階段は玄関の正面にあり、階段のアプローチ部分は事務所と講堂をつなぐ通路にもなっていますので、通行は頻繁です。


■落下する要因/1
 ▲額ヒモが切れる。
  (この額の取り付けはワイヤー自在が額ヒモに掛けてある)
 ▲ワイヤー自在のワイヤーが切れる。
 ▲ワイヤー自在のフック部分が伸びきる。
 ▲ワイヤー自在がスリップする。
 ▲壁金具が曲がったり折れたりする。
 ▲壁金具を留めているビスが抜けたり切断される。

■落下する要因/2
 ▲額縁の吊金具を固定しているビスが抜けたり切断される。
  (電食による腐食もあります)
 ▲額縁の吊金具が破損する。(電食による腐食もあります)
 ▲額縁の留め
  (枠の45度で接着されている4隅)の破損により、外枠の左右と上部を残して他の部分が落下する。(実際ありました)

これだけの落下要因があり、地震等災害も加わりますので、絶対に落下しないという保障は誰も出来ません。

壁金具とワイヤー
額縁の後ろに隠れていて見えませんが、ワイヤー自在のフックは額ヒモに掛かっています。

★大型額には額ヒモは使用しない。
正しくは、額縁の吊金具に直接ワイヤー自在のフックを掛けます。


■額ヒモが切れる要因
 ▲不適切な紐の使用
  (耐荷重不足の紐、滑りやすい紐、紫外線に弱い紐、使い回しの紐など)
 ▲過荷重による切断
  (詳しくはこちらの「■額紐にかかるテンション」をご覧下さい)
 ▲吊金具とその固定ビスの電食による腐食液により紐が犯されて紐の耐荷重が下がり切断する。
 ▲額縁側の吊金具・壁側のフックとの接触面で機械的摩擦により紐が切断する。
  (間仕切り壁とか一般木造住宅の壁は、ドアの開け閉め、道路・線路に接した住宅では車両の通行により振動します)
  (この事例からは外れますが、大量生産されている額縁にはバリ取りが不十分な吊金具が多い為、この事故は多い。)
 ▲額紐の結び目がゆるむ(この事例はほとんど無い)

あやしい金具
壁面に取付けてある金具は、何かの部品を流用している。

★公共の場所に額縁を取り付ける時には、静止加重で1.73倍に耐えられる金具にしますが、階段の上のような危険な所に付ける場合には耐震を考慮して3倍の重さに耐えられる金具にする必要があります。
この金具は余りにもお粗末です。


ワイヤーがフックの先端に掛けられています。テコの原理で荷重以上の負荷が壁側のL字に曲がっている部分にかかります。さらに小判型の穴があいているのでこの部分で曲がってしまうかもしれません。壁金具には触れておりませんので材質が解りませんがステンレスでないことは確かです。
ビスは外して確認しておりませんが目視ではネジ径が細すぎます。
何れにせよ極めてお粗末です。


★公共の場所に額縁を取り付ける時に使用するワイヤー径は1.5ミリ以上のワイヤーを使用する。


使用しているワイヤー径は1ミリです。通常このような展示には1.5ミリ以上のワイヤーを使用します。
某社の7×7ステンレスワイヤー、径1.0ミリの破断過重は80.0Kg、径1.5ミリの破断過重は190.0Kg、径2.0ミリの破断過重は358.0Kgです。しかし自在部分の耐過重はもっと低くなります。当店で販売している「パワーミニ」シリーズの静止安全荷重はワイヤー径1.0ミリで12Kg、1.5ミリで20Kgです。
壁金具とワイヤーが接する部分の形状も重要です。当件の壁金具は金属板の打ち抜きですのでエッジの部分でワイヤーがストレスを受けます。画像を拡大していただくと解りますが、すでにワイヤーの素線がバラけています。


★公共の場所に大型額を取り付ける時には二系統の方法で取付けます。


メインの吊系統と、万が一のサブ系統の二系統です。額縁側も壁側の金具も共用はしない。
サブの吊ワイヤーは遊びをつけておきます。メインの系統が破損したとき額縁が少し下がるか斜めになるようにしておきます。(一例としてこちらを参考にして下さい)


★その他


通常、壁側の金具は額縁に隠れる位置に取付けます。当件の様に壁金具とワイヤーが中途半端に見えるのは美的感覚を疑います。
また、取付け位置が壁面の中心ではなく右に寄っています。




★この階段の踊り場に飾られている、もう一つの額縁は!


Topの写真を撮っている位置の、右上に掛けられている額縁です。

紐が見えるよ
額吊飾鋲フックと呼ばれる壁金具がたった一個です。しかも額ヒモが幅広平紐と呼ばれる素材としては旧式な紐です。〔額紐が切れた その1〕と同質の紐で紫外線に弱い紐です。

ところが

sakamoto-2.jpg

なんと、すぐ側に窓があります。蜘蛛の巣のようなこの紐が切れるのは時間の問題でしょうね!!

ちなみに、この窓のド正面が前記の階段上に取付けた額縁です。
日中はアクリルに映った窓しか見えません。




★蛇足ながら!


職員に「間違った額縁の取付け方の見本の塊りだから写真を撮らさせて」と申し込んで、了解を得て撮影しております。
もちろん、「これこれの理由で極めて危険です・・・」と説明はしてあります。
職員が、「どのぐらいの費用で出来るか・・・」と訊ねられたので、「工事費は特別に安くしても材料代込みで一万円は必要です」と答えると、「予算がねぇ・・・」

実は、現在の中津川市市長はハコ物を作るのが大好きなのです。議会はそれを抑制するどころか促成しています。
差し障りがあるといけませんのでたとえ話をしましょう。タトエバですよ!!タトエバ!!
とある団体の長は新しい車を買うのがとても好きです。必要ないし、身の丈に会わないのに、なんやかんやと理由を付けて新しい車を買います。
鍵を受け取った時(竣工式のテープカット)はご満悦です。
しかし、古い車はなんとも哀れです。外装がボロボロになってもなかなか塗装代を出してもらえない。エンジンが不調でも修理代も無い。それどころかガソリン代もまともに貰えない。車検代(耐震検査の予算)もなかなか出ない。エンジンオイルなど何時替えたか解らないありさま。

タトエバですよ!!タトエバ!!

テーマ : 絵画・美術
ジャンル : 学問・文化・芸術

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プロフィール

原 護

Author:原 護
額装の駆け込み寺・・・
額装工房アートランド
   店主 兼 職人です
中津川に店を構えて40年
当時は単なる額縁屋!!
ΓΓΓΓΓΓΓΓΓΓΓΓΓ
作品に対する安全と
  人に対する安全を重視
そして・・・恐妻家です。

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